どんな依頼も必ず売れる商品にしてしまう打ち合わせ術:追補資料7

はじめに

必ず売れる商品とはどんな商品でしょうか。

それは、商品を作る前に「私は〇〇が欲しいです。〇〇円で買います。」と、お客さんが欲しい物と予算が分かっていることです。先に欲しい物と予算が分かっていれば、あとはただ、その商品をあなたが提供してあげるだけで確実に売れますよね。売れる売れないの心配をする必要は一切ありません。世の中の多くの事業者が、商品を売るために苦労していることを考えると、なんと楽な商売でしょうか。

そうであれば、あなたに何かを頼みたいと依頼が来た時点で実は、この確実に売れる条件が整っています。何故なら、打ち合わせとは、お客さんが何を求めているのか、幾らの予算を想定しているかをお客さんが説明してくれる時間ですから、それを元にあなたは商品を作って提供してあげれば良いんです。

この考え方を元に、他にも打ち合わせを効果的に使うための考え方を4つお伝えします。また、打ち合わせの進め方が分かると、実はマーケティング(商品ラインナップ作り)も一緒にできてしまうことを解説していきます。

この資料を読み終わった時には、打ち合わせはもちろん、集客から高額商品販売へと繋がる商品が出来上がっているでしょう。

打ち合わせをする意味

打ち合わせを何故、行うのでしょうか。何となくのイメージで行っている人が多いと思うので、まずは目的を明確にしていきましょう。
打ち合わせをする意味、そして効果は幾つかあります。

・お客さんを理想の状態へ持っていく
・共通認識作り
・お客さんの未来を一緒に見る
・商品作り

お客さんを理想の状態へ持っていく

例えば、あなたはカメラマンで写真を撮る仕事をしています。そして、パン屋さんをしている人から依頼がありました。宣伝用の写真を撮って欲しいそうです。
この依頼をしてきたパン屋さんは、パンについては当然詳しいプロフェッショナルです。しかし、写真について、カメラの撮影についてはド素人です。
素人ではなく、ド素人です。

例え依頼内容が「うちのパンは地元素材を使った素朴な味なので、自然の中の写真を撮って欲しい。」というような具体的な内容だとしても、ド素人です。

写真やカメラに関して、あなたが忘れてはいけないのは、あなたの当たり前はお客さんにとって当たり前ではない。ということです。

極端に言えば、カメラを見たこともない、写真を撮ったこともない、それぐらいあなたの専門分野に関して知らない、と思ってください。

打ち合わせですることは、撮影までにお客さんを教育し、あなたがやりやすい理想の撮影相手を作ることです。
もちろん、教育と言っても、あなたと同じ状態まで持っていく必要はありません。あなたが写真を撮りやすい状態まで持ってけば充分です。

お客さんを教育する内容は、あなたの専門分野だけに限りません。あなた自身についても知ってもらう必要があります。

あなたはどんな写真を得意としているのか、どんなスタイルで撮ることに拘っているのか、それは何故なのか。今まで撮った写真はどんなものがあるのか、など。
これらを打ち合わせの中で教育していきます。

まとめると、
・あなたの提供する商品サービス、業界に関して
・あなた自身について
伝え、お客さんを理想の状態(あなたが商品サービスを提供しやすい状態、お客さんが商品サービスを最も効果的に活用できる状態)へ持っていくことが打ち合わせで行うことになります。

カメラマンで具体例を挙げると、
・一眼レフを使う理由、スマホとの違い
・撮影場所による違い、時間帯による光の具合
・屋内撮影と屋外撮影の違い
・レンズの使い分け
・など

(ワーク)あなたが提供する商品サービスを利用する時、お客さんに知っておいて欲しいことを書き出しましょう。

質問1:あなたが商品サービスを提供するとき、何を考えて、どんな道具を選び、どんなやり方を選ぶのか。書き出してみましょう。(時間5分)

質問2:あなたは何に拘って、どんなスタイルで、どんな価値観でもって商品サービスを提供していますか。書き出してみましょう。(時間5分)
起業の教科書で言うと「理念、行動指針、ビジョン、ミッション」にあたります。

共通認識作り

共通認識作りは、先程の教育と似ているところがあります。お客さんとの間に共通認識を作ります。例えば、「カメラ」と言ったら、スマホのカメラではなく、一眼レフを思い浮かべるようになることです。パン屋さんで言えば、「甘め」といったらどれぐらいの甘さのことを言うのか、認識を合わせることです。
共通認識を作ることの効果は、誤解がなくなることです。提供する商品の高い満足度を目指すのは当然ながら、それ以前に気を付けるべきことは、お客さんとの認識の不一致です。

例えば、料金に関して、1万円払うつもりでいたら、2万円請求されたら、高い安いは置いておいて戸惑いますよね。「美味しいリンゴ」といったら、どういう味のことを言うのか、言葉で定義できるもの、できないものも含めて、お客さんと共通のイメージを持つようにしていきます。

(ワーク)共通認識作り

質問1:今までに、お客さんとの間で誤解が生まれたことはありますか。それを書き出してみましょう。商品サービスを提供したことがない場合は、誤解が生まれがちなこと、人によってイメージが違うものを想像して書き出してみましょう。(時間5分)

ちなみに、人と共通認識を作るのに一番良い方法は「同じ釜の飯を食う」ことです。同じ空間で同じ時を過ごす。これによって、言葉では伝えられない共通イメージを持つことができます。

お客さんの未来を一緒に見る

先程、お客さんはド素人だと言いました。当然、あなたの商品サービス、業界については何も知りません。最初に問合せをしてくる段階では、ド素人であるお客さんの知っている範囲で、自分の望みを叶える方法を求めて依頼をしてきます。

ですが、あなたは専門家です。
ド素人であるお客さんとは知っていることの量が違います。あなたは専門家として、お客さんが真に求めるものに対して応えることができる最善の方法を提供する責務があります。お客さんに言われたことをそのまま提供するなんてことはあってはいけません(もちろん、お客さんの言うことを全て否定しろというわけではなく、専門家として考えて対応しましょう、ということです)。

お客さんが求めるものを専門家として応えるためには、まず、お客さんが求めるものを知る必要があります。

打ち合わせにおいて、こんな質問をしてみましょう。

・私の商品サービスを使って何をしたいんですか?何を期待していますか?
・何故、私を選んだのですか?

こんな質問をして、お客さんが真に求めるもの、商品サービスを購入した先に見ている未来を一緒に感じてみましょう。
マーケティングの言葉で言えば、ベネフィット(便益)と呼ばれるもので、「追補資料6:必ず売れる商品の作り方」で解説しています。

(ワーク)お客さんの見ている世界を一緒に感じるための質問を考えてみましょう。

質問1:あなたの商品サービスをお客さんが利用する事で、その先に何を期待しているのか。どんな未来を想像しているのか知るために、どんな質問をしたら良いと思いますか。書き出してみましょう。(時間5分)
あなたなりの言葉で構いません。また、お客さん自身も明確になっていない可能性があります。単純に聞くだけではなく、想像力を膨らませて聞いていきましょう。

商品作り

お客さんが望む世界を知ったあなたは、専門家として最善の方法を考えて提案します。

カメラマンのようなサービス業であれば、当日の撮影場所や撮影方法、回数、準備しておくものなど、色々決めておく必要がありますよね。また、パン屋さんのような事前に既製品を作って販売する物販でも同じです。どんな素材が良いのか、焼き方は?用意する時間帯など、パンを作るために決めておく必要がある項目が沢山ありますね。
それらをまとめて専門家として提案します。先にも書きましたが、それら一つ一つの項目の意味について、お客さんに伝えながら(教育しながら)行います。

商品は全て受注品

打ち合わせというとパン屋さんのような事前に既製品を作って販売する物販の場合は関係ないと思われがちですが、そうではありません。何故なら、商品はすべて受注生産だからです。

商品は需要があって成り立つ

私たちの今の社会は、既に市場経済が出来上がった社会です(自給の為に作っていた物が余ったので、それを他人とお金を介した取引をして、交換し合う仕組みのこと)。
なので勘違いしがちですが、商品が商品として存在するためには、それを求める人が必ず居るということです。もう少しいえば、何かを求める人がいるから、商品が生まれます。

初めは、「田んぼが余っているなら私の分もお米作って頂戴。」「じゃあ、君の分も余分に作るね。」みたいな感じで、取引が行われていたけど、毎年毎年欲しい人がいるなら、注文が入る前にある程度余分に作っておいて、注文が入ったら即売れるようにしておこう。となって、注文が入る前に作るようになったのが今の状態です。スーパーに行けば欲しい物が既に作られて置いてありますよね。
本来、欲しい物があったら注文して、その後作り始めます。しかし、今はある程度注文が入ることが見込めるので、先に作って並べて置いて、お客さんの利便性や生産効率を上げているわけです。
だからと言って、本質的には需要(注文、欲しいという気持ち)が先にあって、その後に商品を生産していることには変わりありません。

既製品とオーダーメードの違い

既製品とオーダーメード(受注生産)、または、物販とサービス業と言っても良いと思いますが、実はどちらも本質的には受注生産ですよ、と言いました。とは言っても、受注を受ける流れは違います。その違いをここでは解説したいと思います。

まずは、カメラマンのようなサービス業の場合は分かりやすいですね。一般的な流れを書くと、
1.撮影依頼が来る
2.打ち合わせをする
3.当日撮影する
4.データを渡す
となります。

このうち2番目の打ち合わせによって、どんな商品(どんな撮影)にするかを決めます。写真を撮るという根本は同じとしても、毎回撮影対象も目的も違うため、毎回新しい商品サービスを作っているとも言えます。

パン屋さんのような物販の場合、一般的に、
1.パンを作る
2.陳列されているパンを見て、お客さんはパンを買う。
という流れになります。

既に商品が作られているため、打ち合わせで商品作りをすることはないように思われます。しかし、この流れに書いていない第0番目が実は存在しています。

0.世の中の人がどんなパンを食べたいのか調べる

この0番目の行動が、カメラマンで言う「1.撮影依頼、2.打ち合わせ」にあたります。
物販(既製品)の場合は、目の前のお客さんではなく、世の中の人(市場)という広い範囲を相手に打ち合わせをしている感覚です。この行動のことを一般的には市場調査と呼びます。

(ワーク)あなたが実際に商品サービスを作る(提供する)時に決めておく必要がある項目を書き出してみましょう。

質問1:あなたが実際に商品サービスを提供する時に決めておく必要がある項目を書き出しましょう。(時間5分)

マーケティングファネル

マーケティングファネルの考え方については、別途詳しくお伝えしたいと思いますが、ここでは簡単に解説します。

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マーケティングファネルとは

マーケティングファネルとは、一般的には、低額商品を提供し(フロントエンド商品やフロント商品と言う)、多くの人に試してもらう。そして、それを使ってみてファンになった人が、より高額の商品(バックエンド)を買ってくれるように商品ラインナップを作り、顧客を教育していく仕組みのことを言います。
フロントエンド商品は、多くの人が顧客となりますが、下に行くほど人数が絞られていきます。これが、ファネル、日本語で言うと漏斗のように顧客を抽出していく様子から、マーケティングファネルと呼ばれています。

確かに、うまくいっている商売を分析すると、このような状態になっていると思います。しかし、多くの顧客を集めるとか、抽出するとか、教育するという見方でマーケティングファネルを作ろうとすると、うまくいかない気がしています。

何というか、目線が商品を売る、ということに行きがちで、本当にすべき顧客の需要に応える、ということが疎かになって、結果的にマーケティングファネル自体もうまく作れないことになる気がします。

それでは、どういう風に考えると良いかと言うと、
・提供価値
・コアスキル
で考えると良いのではないかと思います。

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提供価値とコアスキルという視点

提供価値とはミッションです。ミッションとは、あなたは誰に何を提供しているのか、ということでした(起業の教科書 参照)。もう少し言うと、あなたの周りに何故か集まってくる人達、その人達にどんな価値を提供していますか。どんな才能を使って提供していますか。ということです。

コアスキルとは、
あなたが顧客に提供価値を最大限提供しようとした時にすることです。これもあなたの才能の一つを使います。

提供価値は、フロントエンドだろうが、バックエンドだろうが、あなたの商品すべてで顧客は受け取ります。
しかし、コアスキルは、マーケティングファネルの段階毎に使う量が変わります。入口、フロントエンドでは、あまり使わずに、下の方へ行けば行くほどコアスキルをたっぷり使って、提供価値を提供します。

コアスキルを使うには、手間暇が掛かります。あなたの時間と労力を奪うため、多くは提供できません。しかし、コアスキルを使えば使うほど、顧客が受け取る提供価値が最も多くなります。
なので、バックエンド商品を購入できる顧客は限られ、高額になっていきます。

提供価値を、必要とする全ての人に提供する

あなたのコアスキルは、世界でただ1人しか持っていない能力ではありません。できる人は他にもいるということです。
しかし、コアスキルは持っていても、提供価値を求める人はいます。

フロントエンド商品とは、言い換えると、コアスキルは自分で持っているけど、提供価値を求める人のための商品ということです。あなたがコアスキルを発揮しなくても、自分でできる人です。「自分でやるから、やり方だけ教えて。」という人です。
こういう人は、マーケティングファネルの下の方までいきません。行かなくて良い人です。あなたが手間暇を掛けなくても充分提供価値を受け取れる人なので、むしろこの段階に留めておいた方が良い人です。無理やり下の方へ誘導しても失敗するし、顧客の信用も失います。
こういう人が広く多くいると、口コミや信用の蓄積に繋がります。大切にしましょう。

(ワーク)フロントエンド商品作り

質問1:
なるべく手間暇掛けずに(コアスキルを使わずに)価値を提供するにはどうしたら良いでしょうか。考えてみましょう。

このようにコアスキルを持っている人がいる一方、持っていない人もいます。
もしくは、コアスキルを持っているけど、手間暇を省きたいからお金で解決(他の人に頼む)したい人もいます。

こういう人が、マーケティングファネルを下の方まで行き、高額なバックエンド商品を必要とする人です。

(ワーク)バックエンド商品作り

質問1:
あなたの商品サービスで提供している価値を最も最適な形で提供するとしたら、どんなことをしますか。あるいはどんなことをしてあげたいと思いますか。手間暇、お金を気にせず、どうせ提供するならどんな形で提供したいですか。書き出してみましょう。これがバックエンド商品になります。(時間3分)

質問2:
質問1で、手間暇、お金を掛けてしてあげたいこと。これがあなたのコアスキルになります。どんなことを考えましたか。書き写しましょう。(時間3分)

顧客を教育する重要性

フロント商品からバックエンド商品まで、マーケティングファネルが完成しました。この時、最初から高額商品(バックエンド)が欲しいという人がいたら、あなたは売りますでしょうか。

私の考えでは、売らない方が良いと思っています。
最初からバックエンド商品を希望される方にも、最初はフロント商品を利用してもらい、順番にマーケティングファネルを下に下っていってもらいます。

これは、フロント商品からバックエンド商品までの流れにも意味があるからです。フロント商品を利用することで、顧客は徐々にあなたのコアスキルが発揮された状態を体験していきます。また、順番に利用することで、あなたの価値観や知識を共有していきます。

顧客は、プロであるあなたに比べれば、商品サービスに関してド素人です。
いきなり高額商品を使おうとしても、うまく使うこなすことができません。そこで、フロント商品から順番に顧客が利用することで、教育され、上手く使いこなせるようになっていきます。
逆に言えば、そのような商品ラインナップにします。

(ワーク)マーケティングファネルの見直し1

質問1:
あなたのマーケティングファネルは、フロント商品から順番に利用することで、バックエンド商品を最も効果的に活用できる状態へ顧客を導いていますでしょうか。この視点で見直してみましょう。(時間3分)

打ち合わせとマーケティングファネル

さて、打ち合わせの話とマーケティングファネルの話をしてきましたが、両者に共通する言葉が出てきていることに気付きましたでしょうか。

実は、打ち合わせの流れは、マーケティングファネルの流れと同じなんです。時間感覚が違うだけで、2時間ほどの打ち合わせで行うのか、もっと長い時間で行うかの違いであって、やっていることは同じです。

打ち合わせの中で、価値観や知識を共有し共通認識を作る。そして、顧客の求めるものを明確にし、それに応えられる商品を幾つか提案し、顧客に選んでもらう。

ですから、マーケティングファネルを作るには、最初は受注生産の依頼仕事から始めることをオススメします。

これを繰り返していると、自然と色んな顧客に合わせた商品ラインナップができあがっていて、それを整理することで自然とマーケティングファネルができあがってしまいます。
こうしてできたマーケティングファネルは、頭で考えたことではなく、実際に顧客と対話して作り上げたものなので、間違いのないものになります。

(ワーク)マーケティングファネルの見直し2

質問1:
今まで行ってきた打ち合わせを振り返ってみましょう。どんなものを求める顧客がいて、それに対してあなたはどんな商品サービスを提案して応えてきましたか。

質問2:
振り返った打ち合わせを整理してみましょう。共通して提供してきた価値は何でしたか。あなたの手間暇(コアスキル)という軸で、提供した商品サービスを分類してみましょう。

質問3:
整理して見えた提供価値とコアスキルでマーケティングファネルを作り直してみましょう。

まとめ

ここまで読み進め、ワークを行ったあなたは、打ち合わせについて考えていくことで、同時にマーケティングファネルも自然と出来上がってしまいました。何故この様になるのか、全てを貫く最も大事な考え方があります。

「顧客の需要にあなたなりの方法で応える」

全てをこの考え方を中心にしているから、自然と整合性が取れて、まとまっていきます。しかし、顧客の需要に応えることだけを意識しないでください。”あなたなりの方法で”を忘れないでください。自分がなくなった商売人は、顧客に振り回され、消耗していきます。利益も低くなっていきます。”あなたなりの方法で” とは、あなたの資本、専門性、探求テーマ、理念、ビジョンです。この辺りのことが分からなくなった時は、起業の教科書を読み直してみてください。そこにはヒントがあります。

あなたの事業が、社会のみならず、あなた自身も豊かにしていく起業になることを目指して。

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