「10kgは多すぎる」は新商品をつくるヒントになる | 暮らしと循環のデザイン

「10kgは多すぎる」は新商品をつくるヒントになる

顧客の声から需要を見つける方法

「10kgなんです」

そう伝えたときに、

「それだと多すぎる」

という反応が返ってくることがあります。

最初は、ただの感想に聞こえるかもしれません。

でも、その一言の中には、新しい商品を考えるための材料が入っていることがあります。

実際のセッションでも、そんな話が出てきました。

お米を販売している。

10kgをひとつの単位として考えていた。

ところが、お客さんからは「10kgは多い」と感じる声がある。

しかも、複数の人から似た反応が出ている。

そこで、

「5kgにしたらどうだろう?」

という発想が出てきました。

「売れない理由」ではなく「別の需要」として見る

ここで面白いのは、

「10kgでは売れない」

と考えなかったことです。

そうではなく、

「10kgではなく、5kgなら欲しい人がいるのでは?」

と考えた。

この二つは、似ているようで違います。

前者は「今の商品がダメ」という見方です。

後者は「まだ別の商品が見えていない」という見方です。

10kgを買わない人がいたとしても、その人が米を必要としていないとは限りません。

量が合わないだけかもしれない。

保管場所の問題かもしれない。

家族の人数に合わないのかもしれない。

買うタイミングが合わないのかもしれない。

つまり、「買わない」という行動の手前には、いくつもの理由がある。

その理由を見ていくと、新しい需要が見えてくることがあります。

顧客の声は「答え」ではなく「入口」

ここで大事なのは、一人の声をそのまま正解にしないことです。

「10kgは多い」と言われたから、

「では5kgを出せば絶対売れる」

とは限りません。

セッションでも、5kgというアイデアを出したあと、

「本当にそうなのか?」

という確認が必要になりました。

どれくらいの人がそう感じているのか。

実際に買ってくれるのか。

価格が合えば選ばれるのか。

つまり、顧客の声は「商品開発の答え」ではなく、

次に見てみる場所を教えてくれるサイン

なのです。

ひとつの声から、商品が増えていく

商品を増やそうとすると、多くの人は市場調査をしようとします。

競合を調べる。
価格を比べる。
売れ筋を見る。

もちろん、それもひとつの方法です。

でも、自分の目の前にいるお客さんを見ることもできます。

「なぜ買わなかったんだろう?」

「何が合わなかったんだろう?」

「どんな条件なら、買ってみたいと思うんだろう?」

そうやって見ると、自分のすでに持っている商品から、別の形が生まれてくる。

10kgの米を売っていたからこそ、

5kgという商品が見えてきた。

これは、新しい商品をゼロから発明したわけではありません。

すでにある商品を、もう一度見直したことで別の需要が見えてきた

ということです。

商品をつくる前に「選べる世界」をつくる

もしかすると、お客さんが欲しいのは「5kgの米」ではないのかもしれません。

もっと正確に言えば、

「無理なく買える量」
「自分の暮らしに合う量」
「保管しやすい量」

なのかもしれない。

そう考えると、商品開発の視点が変わります。

商品をつくるのではなく、

お客さんが、自分の暮らしに合った選択をできるようにする。

10kgを選んでもいい。

5kgを選んでもいい。

必要なときに必要な分だけ買える。

そういう世界をつくる。

これもまた、商品設計です。

「小さな違和感」から仕事が生まれる

起業というと、何か新しいアイデアをひらめくことだと思われがちです。

でも、実際には、

「10kgって多すぎるかも」

という小さな一言から始まることもあります。

それを流さない。

決めつけない。

少し立ち止まって、

「それって、何を意味しているんだろう?」

と考えてみる。

すると、目の前の商品が違う姿に見えてくる。

需要を見つけるというのは、遠くの市場を探しに行くことだけではありません。

今、目の前にいる人の言葉を、もう一度聞き直すことでもあります。

そして、そうやって見つけた小さな需要を、商品として形にしていく。

仕事は、そんなふうにもつくられていきます。

そのための視点を、紙の上で整理してくれるのが、デザインツールなのだと思います。

トップへ戻る