5kgと10kg、同じ米なのに価格が違っていい | 暮らしと循環のデザイン

5kgと10kg、同じ米なのに価格が違っていい

小さな商品ほど「値段の構造」を考えてみる

「10kgでいくらですか?」

農産物を販売していると、そんなふうに商品の値段を決めることがあります。

10kgならこの値段。
では、5kgならその半分。

一見すると、とても自然です。

でも、ある販売の相談をしていたとき、ここに少し違う見方ができることに気づきました。

5kgと10kgでは、米の量は違います。

けれど、商品を「一回販売する」という仕事そのものは、半分にはなりません。

注文を受ける。
連絡する。
袋を用意する。
商品を準備する。
発送する。
届ける。

こうしたことは、10kgでも5kgでも、ある程度同じように発生します。

つまり、値段は「米の量」だけで決めなくてもいい。

そんな話になりました。

量が変わっても、変わらない仕事がある

ここで一度、価格を二つに分けて考えてみます。

ひとつは、商品の量に応じて変わる部分。

仕入れや商品の数量そのものなど、5kgなら少なく、10kgなら多くなるものです。

もうひとつは、量に関係なく、一回の販売ごとに発生する部分。

注文を受けることや、やり取りをすること、発送の準備をすることなどです。

この「一回売るごとにかかるもの」を無視すると、少量の商品ほど苦しくなります。

10kgなら成り立つ。

でも5kgにすると、急に割に合わなくなる。

それは、5kgの商品に価値がないからではありません。

価格の中に、一回の販売に必要な仕事が入っていなかったのかもしれません。

セッションでは、まさにこの見方に切り替わりました。

これまで「手元に残る金額」が、そのときどきの結果になっていた。

それを、

「一回販売するなら、これくらいは手元に残したい」

と先に考えてみる。

そのうえで、商品の量によって変わる部分を足していく。

すると、5kgと10kgの関係も変わってきます。

5kgだから10kgのちょうど半額、とは限らない。

むしろ、5kgの方が1kgあたりでは高くなることも自然です。

価格は「商品の量」だけでできていない

私たちは、つい商品の値段を「モノの値段」だと思ってしまいます。

でも、実際には、そのモノをお客さんに届けるまでに存在している仕事も価格の中にあります。

農産物でも。
食品でも。
講座でも。
コンサルティングでも。

「商品そのもの」だけを見ていると、

「高いかな」
「安くしないと売れないかな」

という話になりやすい。

でも、商品を届けるために何をしているのかまで見ていくと、

「この仕事は、どこに価値が発生しているんだろう」

という話に変わります。

この違いは、けっこう大きいものです。

値段を変えると、商品の見え方も変わる

面白いのは、ここからです。

価格の構造が見えてくると、

「5kgも売ってみようかな」

という発想が出てきます。

それまでは、

「5kgだと割に合わないから、やめておこう」

だったものが、

「一回あたり必要な金額をきちんと組み込めば、5kgという商品も成立するかもしれない」

に変わる。

つまり、価格を考えることは、値段を決めるだけではありません。

どんな商品をつくれるのかを考えることでもある。

私は、こういう瞬間が「起業のデザイン」に近いと思っています。

正解の価格を外から教えてもらうのではなく、

自分の仕事には何が含まれているのか。

何が量によって変わり、何が変わらないのか。

どこに、自分の時間と労力が使われているのか。

それを一度、紙の上に置いてみる。

すると、今まで「なんとなく高い・安い」で考えていた価格が、少し違って見えてきます。

「安くする」以外にも、方法はある

小さな事業ほど、価格の悩みは「もっと安くした方がいいのかな」という方向に向かいがちです。

でも、本当に必要なのは値下げではなく、

自分の仕事の構造を見えるようにすること

なのかもしれません。

5kgと10kg。

たったそれだけの違いから、

「自分は一回の販売に何をしているんだろう」

と見直してみる。

すると、商品だけでなく、自分の仕事そのものが見えてくる。

それが、デザインツールを使うことで起こることのひとつです。

答えを出す道具ではありません。

見えていなかったものを、見えるようにする道具。

そんなふうに仕事を見られるようになると、値段を決める時間さえ、少し面白くなってきます。

トップへ戻る