自然体験活動の現場で気づいた「本当の価値」
自然の中で子どもたちに様々な体験を提供する活動をしていると、季節の変わり目ごとに新しい悩みに直面します。
今回は、同じように自然体験やアウトドアイベントを主催している方々、そして「自分の活動の価値」についてモヤモヤを抱えている方に向けて、ある日の気づきをシェアしたいと思います。
森の異変と「見えない恐怖」
私は普段、地域の森で子ども向けのアウトドア教室を開いています。子どもたちの生き生きとした姿を見るのは何よりの喜びなのですが、最近、どうしても頭から離れない不安がありました。
それは、「野生動物との遭遇リスク」です。
今年は全国的にクマの目撃情報が相次いでおり、私の活動拠点周辺でも、それらしき痕跡が見つかるようになっていました。
「もし、子どもたちに何かあったらどうしよう…」
「安全管理の責任を本当に取り切れるのか?」
「こんな状況でイベントを強行して、地域の人から白い目で見られないだろうか?」
これまでも天候不良への対策などは万全にしてきたつもりでしたが、「生態が読めない野生動物」という見えない恐怖は、私の心を徐々に重くしていきました。
直接「やめてくれ」と言われたわけではありません。でも、地域の方の心配そうな声や、申し込みを躊躇する保護者の気配を感じるたびに、「やめなくてもいい理由」を必死に探している自分がいました。それはまるで、コロナ禍初期の同調圧力に似た、見えないプレッシャーでした。
恐怖を因数分解する
そんな時、定期的に受けているビジネスコーチングのセッションで、コーチのすえなみさんにこの悩みを打ち明けました。
「見えない恐怖に怯えているだけでは、心身ともにすり減ってしまいますよ」
すえなみさんは、私の不安を一つひとつ解きほぐし、具体的なアクションへと導いてくれました。
1. 「知識」で恐怖をコントロールする
まずは、徹底的な対策です。匂いの管理を極限まで高めるため、「食事の後片付けの水すらも焚き火で蒸発させ、一切の痕跡を残さない」というネイティブアメリカンの知恵を取り入れることにしました。これはただの対策ではなく、子どもたちにとっての「新しい学びのアクティビティ」にもなります。
2. リスクの「絶対値」を決める
「ここまでの状況になったら、迷わず撤退する」という明確な基準(リスク管理計画)を作ること。これを決めておくことで、その場の空気に流されず、主催者として堂々と判断を下せるようになります。
3. 情報開示と誠実な対話
参加者が減ることを恐れてリスクを隠すのではなく、「自然には本来リスクがあること」「それに対して我々はどのような対策と撤退基準を設けているか」を事前に明文化し、同意を得ること。これが、ビジネスとしての誠実な対応であり、不要な不信感を防ぐ唯一の道だと気づかされました。
不安の正体が明確な「タスク」に変わった瞬間、心にかかっていた重い雲が少し晴れた気がしました。
ファシリテーションの重圧と波乗り
セッションでは、もう一つの悩みを話しました。
それは、毎回イベントが終わった後に感じる「重たさ」の正体です。
最近、私は「あらかじめ用意したプログラムをこなす」スタイルから、「その場の子どもたちの発案(イカダを作りたい、地下道を作りたい等)を取り入れ、一緒に創り上げる」スタイルへと移行しようと試みていました。
しかし、予定調和にいかないからこそ、場がまとまらないことも多く、「失敗したのでは…」と自己嫌悪に陥ることもしばしば。終わった後はいつも、重い荷物を背負ったような疲労感がありました。
すると、すえなみさんは笑ってこう言いました。
「それこそが、ファシリテーションの本質に触れている証拠ですよ。ファシリテーションとは、予定調和を手放し、その場に生まれた予測不可能なものを扱い続けること。波乗りのようなものです。今日と明日で波が違うように、不安定なのは当然なんです」
私は、「上手くまとめなければ」という思い込みに囚われていました。予測不可能な波に乗る覚悟を決めた時、その「重たさ」は、新しいものを生み出すための心地よい緊張感へと変わっていきました。
商品の価値は「相手の認知」で決まる
そして、この日の対話で最も衝撃的だったのは、「商品(提供価値)」の捉え方についての話でした。
私は、イベントの最後に設けている「親向けの焚き火を囲む対話の時間」が、なぜか最近、参加者の人生に深く向き合うような濃密な時間になっていることに不思議さを感じていました。やっていること自体は、今までと何も変わらないのに、です。
「それは、ユウキさんが提供しているものが変わったのではなく、『相手の見え方(認知)』が変わったということです」とすえなみさんは指摘しました。
商品やサービスの中身を無理に変えなくても、相手の認知が変われば、それは全く新しい価値になる。
自分が意図して設計したかどうかは関係ない。「相手がそこで何を受け取ったか」こそが、今の私が提供している本当の価値なのだ、と。
「『そんなつもりじゃなかったのに』と謙遜せず、相手が受け取ったものを徹底的に観察し、言語化してみてください。それが、今後の新しい展開の強力な武器になりますよ」
終わりに:思考を整理し、前に進むために
「見えない恐怖」に足がすくみ、目の前の「失敗」に落ち込み、自分のやっていることの「価値」を見失いかけていた私。
しかし、第三者の客観的で、かつ本質を突く問いかけによって、複雑に絡み合った思考が解きほぐされ、次に打つべき具体的な一手が見えてきました。
もし今、あなたが同じように、活動の中でのモヤモヤや行き詰まりを感じているなら、誰かに思考の整理をしてもらう時間を持つことをお勧めします。
自分一人では決して見えない角度から光が当たり、「本当の課題」と「隠れた価値」に気づくことができるはずです。
私がいつもお世話になっているすえなみさんは、単なるノウハウの提供ではなく、その人自身が持つリソースを引き出し、本質的な課題解決へと導いてくれます。もし、一人で抱え込んでいる悩みがあるなら、一度すえなみさんのセッションを受けてみてはいかがでしょうか?
きっと、視界が開けるような体験ができると思います。
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