森が教えてくれる、生きる力の育て方
「生きる力」という言葉は、
よく聞く言葉かもしれません。
教育の話の中でも、
子育ての話の中でも、
これからの時代に必要なのは
生きる力だ
と言われることがあります。
けれど、
生きる力とは
具体的に何なのでしょうか。
知識でしょうか。
技術でしょうか。
判断力でしょうか。
多くの場合、
その意味はあまりはっきりしていません。
こんな不安はありませんか
子どもたちが
自然の中で遊ばなくなった。
スマートフォンや
デジタル環境の中で
育つ時間が増えている。
何かあったときに
自分で判断できるのだろうか。
困ったときに
自分で工夫できるのだろうか。
そうした不安を
感じることがあります。
けれど同時に、
学校ではたくさんのことを
学んでいるはずです。
知識も増えている。
それなのに
なぜ「生きる力」が
足りないように感じるのでしょうか。
よくある誤解
生きる力という言葉は
とても広く使われています。
そのため、
いくつかの誤解もあります。
例えば
生きる力は
知識を増やすことで身につく。
特別なサバイバル技術が必要。
自然の中で
厳しい訓練をすれば身につく。
もちろん、
知識や技術は役に立ちます。
しかしそれだけでは
生きる力はなかなか育ちません。
なぜなら、生きる力とは
知識ではなく
判断の感覚
だからです。
人は本来、生きる力を持っている
火を起こす。
水を見つける。
食べ物を探す。
自然の中で生きるには
いろいろな知識が必要に思えます。
けれど実際には、
人はもともと
環境を感じ取り
状況に合わせて
判断する力を持っています。
森の中に入ると
多くの人が
水の音に気づき
風の向きを感じ
暗くなる前に
火の準備を考えます。
誰かに教えられなくても、
自然とそうした判断が生まれます。
それが
生きる力の感覚です。
森という教師
森の中に入ると、
人は自然に観察を始めます。
どこに水があるか。
どこが乾いているか。
どこで風が止まるか。
誰かに説明されなくても、
身体が環境を読み取り始めます。
火を扱うとき、
人は自然に慎重になります。
暗くなる前に、
火の準備を考えます。
夜を迎えるとき、
光のありがたさを感じます。
森は何かを説明するわけではありません。
けれど、人は森の中で
自分の感覚を使い始めます。
だから森は
教師のような場所です。
教えるのではなく、
人が本来持っている感覚を
思い出させてくれる場所です。
大人が思い出す力
生きる力というと、
子どもの教育の話として語られることが多くあります。
けれど本来、
生きる力が必要なのは
子どもだけではありません。
むしろ、
仕事
暮らし
地域
判断
多くの場面で
大人こそ
自分の感覚を使っています。
森の中で過ごすとき、
多くの大人が気づきます。
自分は
思っていたよりも
多くのことを感じ取り、
判断しているということに。
そしてその感覚は
特別な訓練で身につくものではなく、
もともと
自分の中にあったものだと気づきます。
大人がその感覚を思い出すとき、
暮らしの見え方は少し変わります。
そして多くの場合、
子どもは大人を見て育ちます。
大人が自然に
生きる力を使っているとき、
子どもは
特別に教えられなくても
その感覚を身につけていきます。
生きる力は体験の中で思い出される
多くの教育は
知識を中心に進みます。
説明を聞き、
理解し、
覚える。
しかし、生きる力は
それとは少し違います。
火を扱う。
雨の中で過ごす。
暗い森の夜を迎える。
そうした体験の中で、
人は自分の感覚を使い始めます。
判断する。
工夫する。
仲間と協力する。
そのとき、
もともと持っていた力が
少しずつ思い出されていきます。
防災ともつながる力
実はこの感覚は、
防災とも深く関係しています。
災害のときに必要なのは、
特別な知識よりも
状況を感じ取り
判断する力です。
その意味で
生きる力とは
防災の土台でもあります。
→ 防災について読む
生きる力を整理するための道具
このサイトでは、
生きる力を
感覚だけではなく
構造として整理しています。
例えば
人が環境と関わる構造
学びが起きるプロセス
体験が判断につながる仕組み
こうしたものを
思考の道具としてまとめています。
それが
思考のOSです。
森で学ぶ体験
実際に森で過ごしながら
生きる力を体験する場も開いています。
火を起こす
道具を作る
自然の中で食事を作る
夜の森で過ごす
そうした体験を通して、
判断感覚を身体から思い出していきます。
学校や地域での学び
学校や地域団体では、
生きる力をテーマにした
学びの場を設計することもあります。
現実の課題を素材にすることもあれば、
架空の状況を使って
判断のプロセスを学ぶこともあります。
教えるというより、
体験の中で
自分の判断が立ち上がる環境
を整えています。
→ 依頼について
最後に
生きる力は、
特別な能力ではありません。
人が本来持っている
感覚です。
ただ、
日常の中では
その感覚を使う機会が少なくなっています。
森に入るとき、
火を扱うとき、
自然の中で過ごすとき、
人は
自分の感覚を思い出します。
生きる力とは
新しく身につけるものではなく、
もともと持っている力を思い出すこと
なのかもしれません。