行動と結果を結びつけて承認する方法
あるスタッフが、自分から何かをしていた。
作業環境を少し良くしていた。
休める場所を整えていた。
誰かが忙しそうだから、自分から手伝おうとしていた。
そんな場面を見つけたとき、
「ありがとう」
と伝える。
もちろん、それだけでも嬉しいものです。
でも、あるセッションでは、そこからもう一歩進んだ話になりました。
「ありがとう」の前に、一つ確認してみる
その行動は、
誰かに言われてやったのか。
それとも、
本人が自分で考えてやったのか。
ここは、とても大切です。
たとえば、日陰をつくった。
休憩できるようにした。
作業しやすいように何かを変えた。
その背景に、
「誰かから言われたから」
ではなく、
「自分で気になったから」
があるなら、その行動は、その人自身の「考える力」から出てきたことになります。
だからこそ、
「これ、どうしてやったの?」
と聞いてみる。
承認するのは「人柄」ではなく「行動」
「いつもありがとう」
だけでも、もちろん悪くありません。
でも、
「自分で気づいて、こうしてくれたんだね」
「そのおかげで、こんなふうに仕事がしやすくなった」
と伝えたらどうでしょう。
行動と結果がつながります。
すると、その人の中で、
「自分が考えて動いたことが、誰かの役に立った」
という経験になります。
これは、かなり大きい。
自発性は「もっと自分から動いて」と言って増えるものではない
職場でよくある言葉があります。
「もっと主体的に動いてほしい」
「もっと考えてほしい」
でも、人は「主体的になれ」と言われただけで、突然そうなるわけではありません。
自分で考えた。
やってみた。
結果が出た。
その結果を誰かが見てくれた。
そして、
「それ、良かったね」
と言ってもらえた。
この循環があると、
「またやってみようかな」
につながりやすくなる。
つまり、主体性を直接要求するのではなく、
主体的な行動が生まれた瞬間を見つけて、意味づけする。
そんな方法もあります。
「その人は頑張った」ではなく、「何をしたか」を見る
ここも、意外と重要です。
「頑張ってくれてありがとう」
だと、何が良かったのかが曖昧です。
でも、
「忙しいから手伝おうと思って、自分から入ってくれたんだね」
「作業しやすいように、あそこを変えてくれたんだね」
と具体的に言う。
すると本人も、
「自分が評価されたのは、こういう行動だったんだ」
と分かります。
次に似た状況が起きたとき、
「また自分でやってみよう」
と思えるかもしれない。
小さな改善は、経営者から見ると見逃しやすい
会社を経営していると、大きな提案ばかりに目がいきます。
売上が上がった。
大きな改善があった。
新しい仕組みができた。
でも、現場で起きている変化は、もっと小さいことかもしれません。
ちょっと休みやすくした。
誰かが困らないように先回りした。
作業を少しやりやすくした。
誰かの手が足りなそうだったから手伝った。
こういう行動を見つけられるかどうかで、職場の景色は変わってきます。
改善文化は「制度」より先に「発見」から始まる
改善活動を始めようとすると、
「改善提案制度をつくろう」
という発想になりがちです。
もちろん制度も大切です。
でも、その前に、
すでに現場で起きている改善を見つける
という方法があります。
誰かがすでにやっている。
それに気づく。
本人に聞く。
「自分で考えてやった」と分かれば、きちんと伝える。
そして、
「それによって、こんなことが良くなった」
と結果までつなげる。
これだけでも、仕事の中に小さな循環が生まれます。
「考えてほしい」が、「考えるのが面白い」に変わる
ここに、チームづくりの面白さがあります。
最初は経営者が、
「もっと考えてほしい」
と思っていた。
でも、仕組みを整えていくと、
スタッフ自身が、
「これやったら、ちょっと良くなるかも」
と考えるようになる。
さらに、
「やってみたら、こうなった」
と話してくれる。
それに対して、
「いいね。それ、あなたが考えたんだよね」
と返す。
すると、仕事が単なる作業ではなく、
「自分で工夫していけるもの」
に変わっていきます。
人を変えるのではなく、行動が育つ環境をつくる
人を変えようとすると、どうしても難しくなります。
性格。
意欲。
姿勢。
そういったものを変えようとしてしまうからです。
でも、行動なら見つけられる。
行動なら、小さくできる。
行動なら、結果とつなげられる。
そして、その行動を言葉にして返すことができる。
これが、行動デザインの面白いところです。
「もっと主体的になってください」
ではなく、
「今日、自分で気づいてやったことは何でしたか?」
と聞く。
「それをやったら、何が変わりましたか?」
と聞く。
そして、
「それ、よかったね」
と具体的に返す。
仕事の中にそんな時間が少しずつ増えていくと、チームは「指示されたことをやる場所」から、「自分たちで仕事をつくっていく場所」へと、少しずつ姿を変えていきます。
その世界を具体的な行動に落としていくために、デザインツールがあります。
人を動かすためではなく、
すでに生まれている小さな変化を見つけ、それを育てるために。
そんな使い方もできるのです。