第4回:便利すぎる時代の逆張り。「不自由さ」がお客様の創造力を刺激する | 暮らしと循環のデザイン

第4回:便利すぎる時代の逆張り。「不自由さ」がお客様の創造力を刺激する

スマホを数回タップすれば、世界中のあらゆるものが翌日には玄関先に届く時代。 スーパーに行けば、季節を問わず一年中、好きな食材を好きなだけ選ぶことができます。

そんな「便利さ」が当たり前の世の中で、結衣(ゆい)が営む小さな工房のメイン商品「季節のお任せ定期便」は、お世辞にも便利とは言えません。

毎月何が届くかは、箱を開けてみるまでのお楽しみ。 春ならイチゴばかりが続くこともあれば、初夏には少し酸味の強いルバーブのジャムが入ることもあります。「今月はブルーベリージャムが欲しいな」と思っても、お客様が中身を指定することはできません。

効率や利便性を考えれば、極めて「不自由」な商品です。 結衣自身も、「こんな不便な売り方で、本当にお客様に満足してもらえているのだろうか?」と不安に思うことがありました。

「選べない」ことが、週末の楽しみを連れてくる

ところがある日、定期便を長く続けてくださっているお客様から、こんなメールが届きました。

「毎月、結衣さんの箱が届くのが本当に楽しみなんです。箱を開けて、『あ、今月はルバーブと生姜のジャムなんだ!』って分かると、そこから週末の予定を考えるんですよ。明日はちょっと足を伸ばして、あのパン屋さんでハード系のパンを買ってこようかな。クリームチーズも合いそうだな、とか。届いたジャムから、週末の朝ごはんをデザインする時間が、私にとって最高の癒しです」

このメッセージを読んだ時、結衣はハッとしました。

スーパーでジャムを買う時は、「食パンがあるから、イチゴジャムを買おう」というように、すでに決まっている目的を埋めるための『買い物』です。

しかし、結衣の定期便のお客様は違いました。 「届いたものから、どんな豊かな時間を過ごそうか」と、想像を膨らませていたのです。結衣のジャムは、お客様の暮らしにちょっとした『工夫』や『創造力』を刺激する、小さなスイッチになっていました。

制限があるからこそ、創造力が刺激される

何でも自由に選べることは、一見すると豊かなように思えます。 しかし、「何でもいいよ。好きなものを作って」と言われると、人は意外と何を作ればいいか分からなくなってしまうものです。

逆に、「冷蔵庫にあるこの3つの食材だけで、何が作れるだろう?」と制限をかけられた時の方が、人は「あんな風にしてみよう」「これとこれを組み合わせてみよう」と、自分ならではの工夫を凝らし、創造力を発揮します。

結衣の定期便が持っている「何が届くか分からない」「季節に偏りがある」という『不自由さ』や『制限』は、実はお客様から考える楽しみを奪うものではなく、むしろ「どうやって楽しもうか?」という創造力を刺激するための、大切な『余白』だったのです。

「豊かな不自由さ」を提供できるのは小さな商いだけ

今の時代、手間を省き、時間を短縮し、欲しいものをピンポイントで提供するビジネスは、大企業やAIが圧倒的な力で実現してくれます。私たちのような小さな商いが、同じ土俵で「便利さ」や「効率」を競っても勝ち目はありません。

私たちが提供できる最高の価値は、その逆張りです。

あえて手間ひまをかけること。 あえて全てを選ばせない「お任せ」にすること。 自然の気まぐれによる「不揃い」や「偏り」をそのまま届けること。

一見すると非効率で不自由な中にこそ、お客様が自分自身の頭で考え、工夫し、自分の暮らしを自分の手で作り上げる(デザインする)喜びが隠されています。

「私の仕事は、ただジャムを作って売ることじゃない。お客様の暮らしに、小さな工夫の種を届けることなんだ」

効率化の波に飲み込まれそうになった時、結衣はこの「豊かな不自由さ」の価値を思い出し、今日もまた、季節の移ろいを感じながらコトコトと鍋をかき混ぜるのです。

【おわりに】

効率やスピードばかりが求められる現代。 「もっと売上を上げなきゃ」「もっと効率よくやらなきゃ」と、どこか急き立てられるような焦りを感じていませんか?

でも、立ち止まってモヤモヤと悩む時間や、あえて手間暇をかける不自由さの中にこそ、あなたらしい「商い」と「暮らし」のヒントが隠されているのかもしれません。

誰かの正解を生きるのではなく、自分の違和感を大切にしながら、自分サイズの暮らしと仕事をデザインしていく。 もし、そんな生き方に少しでも共感していただけたら、ぜひ私のプロフィールページを覗いてみてください。

きっと、あなたのモヤモヤを晴らす、新しい視点が見つかるはずです。

▼ 自分の暮らしを、自分でデザインする。
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