「私、ずっと勘違いをしていたのかもしれない」
無添加ジャムと焼き菓子の小さな工房を営む結衣(ゆい)は、ある日、ふとそんなことに気がつきました。
結衣の作る季節のジャムは、毎月の「お任せ定期便」として個人のお客様に届けているほかに、地元の小さなカフェにも卸しています。 どちらに届けているのも、結衣がコトコト煮込んで作った、全く同じイチゴジャムです。
しかし、結衣はふと疑問に思いました。 「同じジャムを買ってくれているけれど、カフェのオーナーさんと個人のお客様は、果たして『同じもの』を求めているのだろうか?」と。
相手が変われば、ジャムの「意味」が変わる
よくよく考えてみると、その答えは明らかでした。
カフェのオーナーさんにとって、結衣のイチゴジャムは「自分で食べるもの」ではありません。 お店の看板メニューであるスコーンに添えて、来店したお客様に「わぁ、美味しい!」と喜んでもらうための、大切な『素材』です。つまり、カフェが買っているのはジャムというモノではなく、「お客様の笑顔」や「お店の評判」なのです。
一方、定期便を頼んでくれている個人のお客様はどうでしょうか。 もちろん「美味しいから」という理由もありますが、それだけではありません。 「休日の朝、少し遅く起きて、丁寧に淹れたコーヒーと一緒に、季節を感じるジャムをトーストに塗って食べる」——そんな、慌ただしい日常から離れた『豊かな時間』や『ほっとするひととき』を求めて買ってくださっている方が多いのです。
作っている「モノ」は、全く同じイチゴジャム。 しかし、相手が誰かによって、そのジャムが持つ「価値」や「意味」は180度変わってしまいます。
商品とは「モノ+言葉(認知)」のセットである
スモールビジネスを営んでいると、私たちはつい「良いモノ(製品)を作れば売れる」と思い込んでしまいがちです。
もちろん、品質が良いことは大前提です。しかし、ビジネスにおける「商品」とは、ただの「モノ」単体ではありません。
【 商品 = モノ + 誰にとってどんな価値があるか(言葉・認知) 】
この方程式が成り立って、初めて「商品」になるのです。
同じイチゴジャムでも、 「カフェのスコーンの味を格上げし、リピーターを増やすための無添加ジャム」として提案するのか。 「忙しいお母さんが、週末の朝だけは自分のためにゆっくり味わえる、ご褒美ジャム」として伝えるのか。
相手に合わせて「価値の翻訳」を行い、適切な言葉で頭の中(認知)に届けること。それができて初めて、そのモノは相手にとっての「商品」になります。
あなたは「価値の翻訳」ができていますか?
結衣は、これまで自分が「イチゴジャムです。無添加で美味しいですよ」という、モノのスペック(特徴)しか伝えていなかったことに気づきました。
相手が本当に欲しいのは、ジャムそのものではなく、そのジャムがあることで得られる「未来(体験や感情)」です。
もし今、あなたが「いいモノを作っているのに、なかなか売れない」「価値が伝わっていない気がする」と悩んでいるなら、少しだけ視点を変えてみてください。
あなたの作っている「モノ」は、 誰の、どんな悩みを解決しますか? 誰に、どんな喜びや豊かな時間をもたらしますか?
ただの「モノ」を売る人から、相手の暮らしを豊かにする「価値」を届ける人へ。 その「価値の翻訳」の言葉を見つけた時、あなたのビジネスは、もっと深く、強く、必要としてくれる人に届くようになるはずです。
【おわりに】
効率やスピードばかりが求められる現代。 「もっと売上を上げなきゃ」「もっと効率よくやらなきゃ」と、どこか急き立てられるような焦りを感じていませんか?
でも、立ち止まってモヤモヤと悩む時間や、あえて手間暇をかける不自由さの中にこそ、あなたらしい「商い」と「暮らし」のヒントが隠されているのかもしれません。
誰かの正解を生きるのではなく、自分の違和感を大切にしながら、自分サイズの暮らしと仕事をデザインしていく。 もし、そんな生き方に少しでも共感していただけたら、ぜひ私のプロフィールページを覗いてみてください。
きっと、あなたのモヤモヤを晴らす、新しい視点が見つかるはずです。
▼ 自分の暮らしを、自分でデザインする。
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