「価格設定・コラボ・顧客視点」起業を成功に導く5つの法則を起業&経営コーチング事例から学ぶ

「自分のスキルや経験を活かして、何か新しいことを始めたい!」 「個人でサービスを提供して、誰かの役に立ちたい!」
そんな想いで起業したり、個人事業主として活動を始めたりする方は多いですよね。しかし、いざ始めてみると、
- 「このサービス、いくらに設定すればいいんだろう?」
- 「友人や知人と一緒に何かやりたいけど、お金のことはどうしよう?」
- 「まだ自信がないから、安くしないと誰も来てくれないかも…」
といった悩みや壁にぶつかることも少なくありません。
今回は、Aさんとコーチの実際の起業&経営コーチングセッションの記録から見えてきた、起業初期に陥りがちな課題とその乗り越え方について、5つの重要な教訓をご紹介します。
(※以下は、実際の起業&経営コーチング内容を基にしていますが、一般化して架空の物語として記述しています。)
事例:協力者との関係から始まったサービス提供
専門スキルを持つAさんは、自身のサービスを提供できる場所を探していました。そんな時、別の事業を営む友人Bさんから「うちのスペースを使ってみない?」と声をかけられます。Bさんの応援もあり、初回は場所代なし、集客もBさんが自身の顧客に告知協力してくれる形でスタートしました。参加者からの評判も良く、2回目の開催が決まったのですが、ここでAさんはいくつかの悩みに直面します。
- 2回目からはスペース利用料が発生することになった。
- 友人Bさんから**「今後の予約管理はどうする?」**と聞かれた。
- 「初回限定価格」で実施したが、2回目以降の価格をどうするか迷っている。
- 自身のサービス内容(特に比較的新しいメニュー)にまだ完璧な自信が持てない。
この状況から、私たちは何を学べるでしょうか?
教訓1:あなたは「主催者」? 曖昧さが招くコラボ事業の落とし穴
友人Bさんの「好意」で始まったサービス提供でしたが、利用料が発生し、予約管理も自身で行う流れになったことで、Aさんは「なんだかビジネスライクになった…?」と戸惑いを感じました。
コーチが指摘したのは、**「実質的にAさんが『主催者』としてのリスクを負い始めている」**という点でした。場所代という固定費が発生する以上、参加者がゼロでもAさんには支払い義務が生じます。つまり、集客に対する責任とリスクを負うのはAさん自身なのです。
【学びのポイント】 友人や知人とのコラボレーションは、事業を始めるきっかけとして素晴らしいものです。しかし、「なあなあ」で進めてしまうと、後々お金や責任の所在で関係が悪化することも。
- 誰が最終的な意思決定権を持つのか?
- 費用負担(特に赤字の場合)はどう分担するのか?
- 集客の責任はどちらにあるのか?
- 事業の継続・中止は誰がどう判断するのか?
たとえ親しい間柄でも、ビジネスとして協力するなら、これらの点を事前に明確に話し合い、合意しておくことが、お互い気持ちよく続けるために不可欠です。
教訓2:価格設定、「自信がないから安く」はNG?価値で考えよう
Aさんは、利用料がかかることや、自身のサービスにまだ改善点があると感じていることから、価格を上げることに躊躇していました。
ここでコーチは、価格設定に関する重要な視点を提示します。
- 価格は「自分の時間単価」ではなく「提供する価値」で決める。
- 商品・サービスごとに提供価値が違うなら、価格も変えて良い。 (例えば、基本的な内容のコースと、個別アドバイス付きの上級コースでは価値が異なる)
- 「自信がないから安くする」のではなく、「その価格に見合う価値を提供できるよう努力する」という前向きなエネルギーに変える。
【学びのポイント】 価格設定は、多くの起業家が悩むポイントです。安易な安売りは、自分の価値を低く見せるだけでなく、事業の継続を困難にします。
- あなたの商品・サービスは、顧客にどんな「価値」を提供しますか?
- その価値に対して、顧客はいくらなら喜んで支払ってくれるでしょうか?
- 自信のなさを価格でカバーするのではなく、価格に見合う価値を提供するために何をすべきか考え、行動しましょう。
教訓3:「モニター価格」でやる意味、ちゃんと考えてる?
「初回価格」「モニター価格」といった言葉は、新しいサービスを始める際によく使われます。Aさんのサービスも「初回限定価格」でスタートしました。しかし、その目的は何だったでしょうか?
コーチは、モニター開催には大きく分けて2つの目的があると説明しました。
- 自分の修行・練習のため: スキルアップや経験を積むことが目的。この場合、安価でもOK。
- 市場調査のため: その商品・サービスが、設定した価格で市場(顧客)に受け入れられるかを検証することが目的。
【学びのポイント】 もしあなたの目的が「市場調査」なのであれば、安価なモニター価格で実施しても意味がありません。 なぜなら、「その価格だから来た」のか、「そのサービス内容に価値を感じて来た」のかが分からないからです。
- 「このサービス内容で、この価格で、お客さんは来てくれるだろうか?」 これを知りたいなら、最初から正規(売りたい)価格で市場に問いかける必要があります。
- その結果、顧客が来なければ「この価格や内容では需要がない」と判断でき、改善や方向転換の具体的な材料になります。Aさんも最終的に、この「市場調査」としてサービス提供の機会を活用する決意をしました。
教訓4:そのこだわり、顧客にちゃんと響いてる?「顧客視点」を持とう
Aさんは「顧客が自宅でも実践できるようなパーソナルなアドバイスを提供したい」という強い想いを持っていました。しかし、「そんなことを望む人は少ないのでは?」と考え、最初の告知ではその点を十分に打ち出せませんでした。
コーチは、「まずその価値を打ち出して、市場(顧客)に問いかけてみることが大事」とアドバイスしました。
【学びのポイント】 自分の商品やサービスに情熱を持つことは素晴らしいことです。しかし、その情熱やこだわり(How)が、顧客の求めているもの(What)や、なりたい姿(Why)に繋がっていなければ、ビジネスとしては成立しません。
- あなたのサービスは、顧客のどんな問題を解決しますか?
- 顧客は、あなたのサービスを通じてどうなりたいと思っていますか?
- 自分の「やり方」を説明するだけでなく、顧客が得られる「結果」や「価値」を伝えましょう。 顧客は「そのサービスで自分の目的が達成できるか」で判断します。
教訓5:「完璧」を待たない!まずはやってみる勇気
Aさんは、サービス内容にまだ改善の余地があると感じ、価格を上げることに抵抗を感じていました。また、他の分野でのサービス提供という新しいアイデアにもワクワクしつつ、まだ形にはなっていません。
起業&経営コーチング全体を通して流れていたのは、**「まず行動してみることの重要性」**です。
【学びのポイント】 起業に「完璧な準備」はありません。
- まずは小さな一歩を踏み出してみる。
- 市場の反応を見る(市場調査)。
- フィードバックを得て改善する。
- 需要がなければ、潔く方向転換する。
この**「実験と検証」のサイクル**を回していくことこそが、あなたの商品・サービスを本当に価値あるものへと育て、ビジネスを成功に導く鍵となります。頭の中で考え込んでいるだけでは、何も始まりません。
まとめ
今回の起業&経営コーチング事例から、以下の5つの教訓が見えてきました。
- 「主催者」としての自覚を持ち、コラボ相手とは条件面を明確にする。
- 価格は「提供価値」で設定し、安易な安売りはしない。
- 「モニター開催」の目的を意識し、市場調査なら正規価格で。
- 自分のこだわりだけでなく、「顧客が得られる価値」を伝える。
- 完璧を待たず、「まずやってみる」勇気を持つ。
これらの教訓は、業種やサービス内容に関わらず、多くの個人事業主や起業を志す人にとって普遍的なテーマではないでしょうか。
もし今、あなたが価格設定や事業の方向性、コラボレーションなどで悩んでいるなら、ぜひ今回の事例をご自身の状況に照らし合わせてみてください。きっと、次の一歩を踏み出すためのヒントが見つかるはずです。
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