「この値段でいいのかな…」価格設定のモヤモヤを解消する考え方
「個人事業主って、自由だけど悩みも尽きないよな…」
そんな風に感じているあなたへ。
このブログシリーズでは、独立したてのWebデザイナー・田中さんと、少し先輩のコンサルタント・佐藤さんのカフェでの会話を通して、個人事業主がぶつかりがちな壁とその乗り越え方のヒントをお届けします。今日のテーマは…?
登場人物:
- 田中さん: 最近独立したばかりのWebデザイナー。熱意はあるが、事業運営の様々な側面に悩み中。
- 佐藤さん: 田中さんより少し先輩のフリーランスコンサルタント。自身の経験を踏まえ、田中さんにアドバイスをする。
「この値段でいいのかな…」価格設定のモヤモヤを解消する考え方

田中: 佐藤さん、また相談なんですけど…サービスの価格設定って、本当に悩みますよね。安すぎても自分が大変だし、かといって高くするのも気が引けて…。特に、知り合いから頼まれた時とか、どうしたらいいか分からなくて。
佐藤: 価格設定は、個人事業主にとって永遠のテーマの一つかもしれないね。田中さんは、どんな時に特に悩むの?
田中: やっぱり、初回のお試し相談とか、あとは駆け出しの頃に設定した「モニター価格」をいつまで続けるべきか、とか…。無料でやった方がお客さんは集まるのかな、とも思うんですけど。
佐藤: なるほどね。まず、「無料」や「モニター価格」については、**「戦略的に」**捉えることが大事だよ。
田中: 戦略的、ですか?
佐藤: うん。例えば、「無料相談」。これはタダ働きじゃなくて、
**「未来のお客さんを獲得するための広告費」**を自分が負担している、という考え方なんだ。その投資に見合う価値(信頼獲得や後の契約)があるかどうか、目的意識を持つことが重要だよ。
**「モニター価格」も同じ。もし「経験を積むため」に安価にするなら、「いつまでに、どんな状態になったら通常価格に戻す」**という目標と期限を決めておくべき。自信がないからと、ずるずると低価格を続けるのは、自分の価値を自分で下げてしまうことになりかねないからね。
田中: 耳が痛いです…(苦笑)。じゃあ、通常価格はどう考えたらいいんでしょう?
佐藤: 基本は、**「提供する価値(ベネフィット)」に見合った価格を設定することだね。田中さんのデザインでお客さんの売上が上がったり、業務効率が改善したりするなら、その価値は大きいよね?時間単価だけで考えるんじゃなくて、「お客さんが何を得られるか」**を基準に考えるんだ。
田中: 価値、か…。
佐藤: もちろん、サービス提供にかかる時間や経費(準備時間、ツール代、交通費とか)をしっかり把握して、最低限必要なラインを知っておくことも大前提だよ。市場の相場も参考にはなるけど、安易に周りに合わせるんじゃなくて、自分のUSP(独自の強み)があるなら、自信を持って価格に反映させるべきだ。
田中: 知り合いへの価格はどうしたら…?
佐藤: それはね、**「市場価格とは別の判断」だと割り切るといいよ。ビジネスとしての通常価格は決めた上で、特別な関係性だから今回はこの価格にする、という「意図的な選択」**をするんだ。通常価格と混同しないことが大事だね。
田中: なるほど!通常価格と、関係性による調整は別物と考えるんですね。
佐藤: そう。そして何より、「自分はこの価値を提供しているんだ」という自信を持つこと。価格に対する迷いは、お客さんにも伝わってしまうものだからね。
田中: 自信、ですね…。今日のお話で、価格設定の考え方がだいぶ整理できました。自分のサービス価値をしっかり見定めて、堂々と価格を提示できるように頑張ります!
佐藤: うん、応援してるよ!自信のある価格設定は、きっと田中さんとお客さん、双方にとって良い関係を築く土台になるはずだから。
田中: ありがとうございます!
【結び】
独立したての田中さんと、先輩の佐藤さんの会話はいかがでしたか? 個人事業主が直面する様々な課題について、具体的な解決のヒントが見つかっていれば幸いです。このシリーズが、あなたの事業を一歩前に進めるためのきっかけとなることを願っています。
解説
「自分のサービス、いくらに設定すればいいんだろう…」これは、多くの個人事業主が直面する大きな悩みです。特に、コンサルティングやコーチング、デザイン、ライティングといった形のないサービスや、事業を始めたばかりの頃は、自分の価値を低く見積もってしまい、つい安価な設定にしがちです。しかし、価格設定は事業の健全性や持続性に直結する、極めて重要な経営判断です。
「無料」や「モニター価格」の捉え方
価格設定で特に悩ましいのが、「無料オファー」や「モニター価格」の扱いです。これらを効果的に活用するための考え方を見ていきましょう。
- 「無料」は未来への投資(広告宣伝費):
- 初回相談や体験セッションなどを無料にする場合、それは単なる「ボランティア」ではありません。**「将来の有料顧客を獲得するための広告宣伝費を、事業主自身が先行投資している」**と捉えるべきです。
- その「投資」に対して、どんなリターン(信頼獲得、見込み客情報の取得、後の有料契約への導線など)を期待するのか、明確な目的意識を持つことが重要です。目的のない無料提供は、事業の疲弊を招きます。
- 「モニター価格」の目的を明確に:
- モニター価格を設定する目的は、大きく分けて2つあります。
- A) 市場調査目的: 本来設定したい正規価格に近い価格で提供し、「お客様はこの価格でも価値を感じてくれるか?」を検証します。安価にしすぎると、正しい市場の反応は得られません。
- B) 経験蓄積(スキルアップ)目的: まだ実績や経験が十分でないため、「とにかく実践の機会を得たい」という場合。通常より安価にして協力者を募るのは有効ですが、「いつまでに」「どんなスキルレベルに達したら」モニター期間を終了するのか、自分の中で明確な目標と期限を設定することが不可欠です。自信がないからと、ずるずると低価格の「修行」期間を続けてしまうと、「安いから売れる」という自己認識から抜け出せなくなるリスクがあります。
- モニター価格を設定する目的は、大きく分けて2つあります。
価格を決める上での考え方
自信を持って価格を設定するために、以下の点を総合的に考慮しましょう。
- 提供価値(ベネフィット)を基点にする: あなたのサービスは、お客様のどんな深刻な問題を解決し、どんな大きな価値(時間短縮、収益向上、精神的安寧など)をもたらしますか?その価値の大きさに応じた価格を設定することが、価値提供ビジネスの基本です。
- 時間とコストを正確に把握する: サービス提供に直接かかる時間だけでなく、事前の準備、ヒアリング、学習、移動、諸経費(ツール利用料、通信費、外注費など)といった、目に見えにくいコストもすべて洗い出し、最低限必要な収益ラインを把握します。
- 市場価格は参考に、しかし絶対視しない: 競合の価格帯を知ることは重要ですが、安易に価格競争に巻き込まれる必要はありません。あなた独自の強み(USP)がお客様に響くものであれば、市場平均より高い価格設定も十分に可能です。
- 関係性に応じた調整は「例外」として意識的に: 親しい友人や家族など、特別な関係性の相手に対して価格を調整すること自体はあり得ます。ただし、それはあくまで市場原理とは別の**「意図的な判断」**であり、通常提供する価格とは区別して考える必要があります。
- 自信を持って提示する: あなたが提供する価値を信じ、その価値に見合った価格であることを堂々と提示すること。価格に対する迷いやうしろめたさは、不思議とお客様にも伝わるものです。
まとめ
価格設定は、単に数字を決める作業ではありません。それは、あなたが提供する価値への自信の表れであり、事業を継続していくための基盤であり、そしてお客様との健全な関係性を築くための意思表示でもあります。「安い方が良いだろう」という漠然とした不安から抜け出し、提供価値に基づいた、自信の持てる価格設定を目指しましょう。それが、あなた自身とお客様双方にとって、長期的に見てより良い結果をもたらすはずです。
【結び】
4回にわたり、実際のコーチングセッションから得られた個人事業主向けのヒントをご紹介しました。事業のフェーズや状況に合わせて、考え方や具体的なアクションの参考にしていただければ幸いです。あなたの挑戦と事業の成功を心から応援しています!
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