「ウリは何?」と聞かれたら…? “掛け算”で見つける!あなただけの強み(USP)

「個人事業主って、自由だけど悩みも尽きないよな…」

そんな風に感じているあなたへ。

このブログシリーズでは、独立したてのWebデザイナー・田中さんと、少し先輩のコンサルタント・佐藤さんのカフェでの会話を通して、個人事業主がぶつかりがちな壁とその乗り越え方のヒントをお届けします。今日のテーマは…?


登場人物:

  • 田中さん: 最近独立したばかりのWebデザイナー。熱意はあるが、事業運営の様々な側面に悩み中。
  • 佐藤さん: 田中さんより少し先輩のフリーランスコンサルタント。自身の経験を踏まえ、田中さんにアドバイスをする。

「ウリは何?」と聞かれたら…? “掛け算”で見つける!あなただけの強み(USP)

田中: 佐藤さん、この前、お客さんに「田中さんのデザインの強みって何ですか?」って聞かれて、うまく答えられなかったんですよ…。他のデザイナーさんもたくさんいるし、自分の「売り」が何なのか、よく分からなくて。

佐藤: なるほどね。多くの個人事業主がぶつかる壁だと思うよ。「Webデザインができます」「記事が書けます」っていうスキルだけだと、どうしても埋もれがちだからね。

田中: そうなんです。どうしたら、自分だけの「強み」って見つけられるんでしょう?

佐藤: 良い質問だね。僕がヒントにしているのは、**「専門スキル」「自分自身のユニークな経験や背景」“掛け算”**してみる、という考え方なんだ。

田中: 掛け算、ですか?

佐藤: そう。例えば、田中さんはWebデザイナーだけど、前職は何をしていたんだっけ?

田中: 前は雑貨屋さんの店長でした。接客とか、商品の見せ方とか、売上管理とか…。

佐藤: 面白いね!じゃあ、「Webデザインスキル」×「店舗での販売・接客経験」を掛け合わせてみたらどうだろう?「ただ見た目が綺麗なだけでなく、実店舗で培った『売れる見せ方』のノウハウを活かして、お客様の売上に貢献するWebサイトを作れる」とか。これは他のデザイナーにはない、田中さんならではの強みになるんじゃないかな?

田中: あ…!言われてみれば、デザインするときも「どうしたらお客さんの目に留まるか」「買いたくなるか」って無意識に考えてるかも…!それが強みになるなんて、考えたことなかったです。

佐藤: そうなんだよ。一見、専門分野と関係なさそうな経験や、個人的な興味、あるいは苦労した経験なんかも、掛け合わせ次第で独自の価値になるんだ。例えば、すごく丁寧なヒアリングが得意なら、「デザインスキル」×「徹底したヒアリング力」で、「お客様の漠然としたイメージを的確に言語化し、形にするのが得意」と言えるかもしれない。

田中: なるほど…!自分の経験を棚卸ししてみるのが大事なんですね。

佐藤: まさに。以下の3つの問いで、自分の「掛け算」の素材を探してみるといいよ。

1. 提供している専門スキル・知識は? (Webデザイン、ライティング、コンサルティングなど)

2. これまでのユニークな経験は? (職務経歴、プライベートな経験、成功・失敗体験、人から褒められることなど)

3. 大切にしている価値観・情熱は? (仕事を通じてどうなりたいか、お客様にどうなってほしいか、譲れない信念など)

田中: 書き出して、組み合わせてみるんですね。なんだか、自分の強みが見えてきそうな気がしてきました!

佐藤: その調子!スキルだけじゃなく、田中さん自身の「物語」が、他にはない価値を生み出すんだ。自信を持って、自分だけの「掛け算」を見つけてみて。

田中: はい、やってみます!ありがとうございます!

次回は、その強みを具体的なサービスに落とし込み、お客様に伝える方法について考えます。

解説

個人事業主として活動する中で、「他の人との違いは何か?」「自分の独自の価値はどこにあるのか?」と悩むことはありませんか?特に、似たようなサービスを提供する競合が多い分野では、この問いは切実です。

「〇〇ができる」だけでは埋もれてしまう

多くの個人事業主は、自身の専門スキルや知識をアピールしようとします。例えば、「ウェブサイトを作れます」「コンサルティングができます」「〇〇の資格を持っています」といった形です。しかし、それだけでは、同じスキルを持つ他の事業者との違いが明確になりません。

実際のコーチングセッションで見えてきた重要な視点は、**「専門スキルや知識」「あなた自身のユニークな経験や背景」“掛け算”**することで、他にはない独自の価値(USP: Unique Selling Proposition)が見えてくる、ということでした。

あなたの「経験」こそが価値になる

例えば、以下のような”掛け算”が考えられます。

  • 例1:デザインスキル × 元営業職の経験 → ただ美しいだけでなく、「売上に繋がる心理を理解したデザイン」を提案できるデザイナー
  • 例2:コンサルティングスキル × 大企業と中小企業の両方での実務経験 → 大企業の知見を活かしつつ、「中小企業の現実に即した実行可能な戦略」を策定できるコンサルタント
  • 例3:ライティングスキル × 自身の大きな挫折(病気、転職等)からの回復経験 → 表面的な言葉だけでなく、「同じような困難を抱える読者の心に深く寄り添う、共感力の高い文章」を書けるライター
  • 例4:コーチングスキル × 特定の趣味(例:登山)への深い造詣 → 登山のプロセスやメンタリティをメタファーとして活用し、「目標達成への道のりを具体的にイメージさせながら導く」ことができるコーチ

このように、一見すると専門分野とは直接関係ないような経験や知識、あるいは個人的な苦労や情熱が、組み合わさることで、**「あなただからこそ提供できる特別な価値」**を生み出すのです。

「掛け算」の見つけ方 – 3つの問い

あなた自身の「掛け算」を見つけるために、以下の問いを自分に投げかけてみてください。

  1. 提供している(したい)専門スキル・知識は?: あなたのサービスの核となる能力、専門分野、資格などをリストアップします。
  2. これまでのユニークな経験は?:
    • 仕事での成功体験、印象的な失敗体験
    • 専門外の分野での職務経験や学習経験
    • プライベートでの大きな出来事、苦労したこと、乗り越えたこと
    • 人からよく「あなたらしいね」と言われる点、感謝されること
    • (一見ネガティブに見える経験も、独自の視点や深い共感力を生む源泉になり得ます)
  3. 大切にしている価値観・情熱は?:
    • この仕事を通じて、お客様に最終的にどうなってほしいか?
    • どんな状態を「理想的」と感じるか?
    • 仕事をする上で、どうしても譲れない信念やこだわりは何か?

これらの要素を書き出し、それらが組み合わさることで**「他の人には真似できない、あなたならではの提供価値」**は何かを探ってみましょう。

まとめ

あなたのスキルや知識は土台として重要ですが、それだけが価値のすべてではありません。あなたが生きてきた道のり、そこで得た経験、悩み、喜び、そして大切にしている想い…それらすべてが、あなただけのユニークな価値を創り出すための「素材」です。ぜひ”掛け算”の視点で、ご自身の強みを再発見し、自信を持って発信していきましょう。

次回は、その強みを活かした「サービス設計」と「伝え方」について掘り下げます。

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