鳴らないスマホと、三つの「魔法の箱」。―情報発信迷子が気づいた、本当に「伝わる」届け方―　起業物語4/6

「見て見て！新作イラスト、アップしたよ！」

駆け出しイラストレーターの早川あかりは、SNSの投稿ボタンを押しながら、心の中で叫んだ。

自信作だった。

でも、スマホの通知は思ったように鳴らない。

コメントもまばら。

「私の絵、誰にも響いてないのかな…」

あかりには、伝えたいことがたくさんあった。

一枚の絵に込めた想い、制作の裏話、使っている画材のこだわり…。

でも、インスタグラムでは長い文章は読まれない気がするし、かといってブログは誰も見てくれないかもしれない。

情報発信の迷路で、あかりは完全に迷子になっていた。

そんな時、憧れの先輩イラストレーター、橘さんの個展に足を運んだ。

勇気を出して悩みを打ち明けると、橘さんは優しく微笑んで言った。

「あかりちゃん、情報発信はね、一つのお店を経営するようなものなのよ。SNSは、道行く人の目を引く華やかな『ショーウィンドウ』。ブログやホームページは、じっくり作品を見てもらうための『アトリエ』。そして、もっと深く作品を愛してくれる人との特別な繋がりを作るのが、ニュースレターやメルマガっていう『ファンレターの魔法の箱』なの。」

「三つの…魔法の箱？」

「そう。それぞれ役割が違うの。ショーウィンドウ（SNS）で『あら、素敵！』って足を止めてもらったら、次はアトリエ（ブログ）に招き入れて、作品の背景やあなたの想いをゆっくり伝える。そして、本当に気に入ってくれた人には、魔法の箱（メルマガ）から特別なメッセージを届けるの。そうやって、少しずつ関係を深めていくのよ。」

橘さんの言葉に、あかりは目から鱗が落ちる思いだった。

全部ごちゃ混ぜに考えていたけれど、お客様の関心の度合いに合わせて、情報を届ける場所と方法を変えればいいんだ！

あかりは早速、SNSでは作品の魅力的な部分を切り取って発信し、「制作秘話はブログで公開中！」と一言添えるようにした。

ブログでは、作品に込めた想いを丁寧に綴り、最後に「最新情報や限定イラストはメルマガで」と案内を加えた。

すると、少しずつブログのアクセスが増え、メルマガの登録者も現れ始めた。

そして、「あかりさんの絵のファンです！」という温かいメッセージと共に、イラストの仕事依頼が舞い込むようになったのだ。

もしあなたが情報発信で悩んでいるなら、一度立ち止まって、あなたの「ショーウィンドウ」「アトリエ」「魔法の箱」がそれぞれどんな役割を担うべきか、考えてみませんか？

きっと、あなたの想いを本当に届けたい人に届ける道筋が見えてくるはずです。

#情報発信戦略 #SNSマーケティング #ブログ活用 #メルマガ効果 #伝わる技術