売れない新作と、たった一人のためのイヤリング。―小さなオーダーメイドが教えてくれた商品開発の秘密― 起業物語2/6

「今度こそ、みんなに『カワイイ!』って言ってもらえるはず!」
手作りアクセサリー作家の広田夏美は、自信作の新作ネックレスをSNSにアップした。
だが、期待したほどの「いいね!」はつかず、注文もまばら。
「どうしてなんだろう…トレンドも意識したし、素材にもこだわったのに…」
夏美は肩を落とした。
そんな時、ふと参加した起業セミナーで、講師が語った言葉が心に引っかかった。
「大きな市場を狙う前に、まず目の前の一人のお客様を120%満足させることを考えてみてください。商売の原点は、オーダーメイドなんです。」
「一人のお客様…?」
半信半疑だったが、ちょうど親友の誕生日が近いことを思い出した。
親友は最近、新しい仕事で少し疲れている様子だった。
「彼女が元気になれるような、世界でたった一つのアクセサリーを作ってみよう」
夏美は親友の好きな色、普段の服装、最近の悩みまでじっくりと聞き、デザインを考えた。
小さな天然石を組み合わせたイヤリング。
完成品を渡した時の親友の驚いた顔と、「私のこと、こんなに考えてくれてたんだね…!」という涙声は、今でも忘れられない。
そのイヤリングは、夏美がこれまで作ってきたどんなアクセサリーよりも、親友の心に深く響いたようだった。
そして、不思議なことに、そのイヤリングを見た親友の同僚から、「私もあんな雰囲気のものが欲しい」と少しずつオーダーが入るようになったのだ。
一人ひとりの話を聞きながら作るうちに、多くの女性が本当に求めているデザインの共通点や、言葉にできない想いが、ぼんやりと見えてきた。
「そうか、みんなが欲しがるものを作ろうとするんじゃなくて、一人のために心を込めて作ったものにこそ、多くの人の心を動かすヒントが隠されているんだ」
夏美は、まるで宝の地図を見つけたような気持ちだった。
今、夏美のブランドは、一人ひとりの物語に寄り添う「セミオーダー」が人気となり、少しずつファンを増やしている。
あの日の、たった一人のためのイヤリングが、彼女の未来を照らす道しるべになったのだ。
もしあなたが新しい商品やサービスを考えているなら、まずは一番身近な、大切な誰かのために、心を込めた「オーダーメイド」を提供することから始めてみませんか?
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