あなたの商品が売れない本当の理由。〜「売る」から「つながる」へ発想を変える共同体ビジネスの考え方〜

「こだわりの商品を作ったのに、お客さんが来ない…」

「いいサービスを提供しているはずなのに、なぜか広がらない…」

起業したばかりの方や、個人でビジネスをされている方なら、一度はこんな悩みにぶつかったことがあるかもしれません。必死にSNSで発信したり、チラシを作ったり。でも、手応えが感じられず、だんだん心が疲れてきてしまう…。

もしそうだとしたら、あなたの商品や努力が足りないのではなく、もしかしたらビジネスの「順番」を間違えているだけなのかもしれません。

先日、あるヨガインストラクターの方の経営コーチングに同席する機会がありました。その対話の中から見えてきたのは、私たち個人事業主が陥りがちな「落とし穴」と、そこから抜け出すための、目からウロコの新しい視点でした。

多くの人がハマる「商品が先、お客さんは後」という思い込み

私たちはつい、こう考えてしまいます。

「良い商品(サービス)を作れば、お客さんは自然と集まってきて、買ってくれるはずだ」

しかし、情報で溢れかえる現代では、この考え方だけではビジネスはなかなか軌道に乗りません。

なぜなら、お客さんはあなたの素晴らしい商品に気づくことすらできないからです。この「商品が先」という考え方は、まるで人のいない砂漠でお店を開くようなものなのです。

では、どうすればいいのか?

コーチングで見えてきた答えは、この順番を真逆にすることでした。

発想の転換:「人」から始める共同体ビジネス

結論から言うと、新しいビジネスの考え方はこうです。

「まず、あなたのビジョンに共感する『人』とつながる。そして、その『共同体』の中で、必要な商品(サービス)が自然とやり取りされる」

商品が人を集めるのではありません。先に「人とのつながり」があり、その温かい関係性の中で、自然と商売が生まれていくのです。これを「共同体ビジネス」と呼ぶことにしましょう。

このビジネスは、2つのシンプルな活動で成り立っています。


第1の柱:ひたすら「つながる」(温かい関係を築く)

これは、あなたのビジネスの土台を作る、最も大切な活動です。ポイントは、ここでは一切「売ろう」としないこと。

  • 目的は? あなたの考えやビジョンに共感してくれる「仲間」や「ファン」を見つけ、人間的な信頼関係を築くことです。
  • 何をするの? コーチが使っていた例えが秀逸でした。それは**「ご近所さんへの挨拶」「学級通信」**です。 クラスに来てくれたお客さんや、イベントで出会った人に、売り込み一切なしの近況報告メールを送ってみるのです。「最近こんなことを考えています」「〇〇を読んでこんな発見がありました」といった、あなた自身の「人柄」が伝わる内容です。 相手はあなたを「セールスしてくる人」ではなく、「価値観を共有できる一人の人間」として認識し始めます。これが、温かい共同体が生まれる第一歩です。

【今日からできるアクション】

まずは、これまで出会ったお客さん一人に、売り込みではない、簡単な挨拶や近況を伝えるメールを送ってみませんか?


第2の柱:正しく「伝える」(価値を誤解なく届ける)

温かい「つながり」の土台ができて初めて、このステップが活きてきます。共同体の仲間に対して、あなたが提供できる価値を、親切に、わかりやすく情報提供します。

  • 何を伝えるの?
    1. 商品の内容(What): あなたが提供できるメニューの一覧です。それぞれのメニューに「〇〇な人におすすめ!」といったキャッチコピー(お店のPOP広告のようなイメージ)を添えて、何が手に入るのかを明確にします。
    2. 行動の仕方(How): 「どうすれば買えるのか」を、相手が一切迷わないように、一つひとつ丁寧に説明します。「このリンクをクリックし、お名前を入力後、送信ボタンを押してください」のように、具体的な行動を示してあげましょう。
    3. 約束すること(Promise): これが最も重要です。私たちは「必ず〇〇が治ります」「絶対に成功します」といった**「結果」は約束できません。私たちが約束できるのは「プロセス」**です。 「あなたの課題に対して、私が持つ専門知識と技術を最大限に提供し、一緒に可能性を探る旅のガイドをします」 と伝えるのです。これにより、お客さんは過度な期待をせず、安心してあなたのガイド(サービス)を受け入れてくれます。

【今日からできるアクション】

あなたのサービスメニューを一つ、お客さんに説明するとしたら、どんな「キャッチコピー」をつけますか?そして、どんな「プロセス」を約束できるか考えてみましょう。


まとめ:ビジネスは「与え合い」のサイクル

この「共同体ビジネス」の全体像をまとめると、こうなります。

  1. あなたが大切にする**ビジョン(なぜそれをやるのか?)**を明確にする。
  2. そのビジョンに共感する人たちと出会い、挨拶やニュースレターで**「つながる」**。
  3. そこに温かい**「共同体」**が生まれる。
  4. その共同体の仲間に、あなたが提供できる価値(メニュー)を丁寧に**「伝える」**。
  5. 仲間はあなたを信頼し、安心してサービスを受け取り、感謝のしるしとして対価を払う。

このサイクルが回り始めると、お客さんは本当に欲しいものを手に入れて豊かになり、あなたはやりがいと対価を得て豊かになり、その関係性自体が小さな社会を豊かにしていきます。

もし今、あなたが集客に悩んでいるのなら、一度「売る」という考えを手放して、まずは目の前の一人と「つながる」ことから始めてみませんか?

その小さな一歩が、あなたらしい、豊かで持続可能なビジネスへの入り口になるはずです。

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